財団の概要 / 設立趣意書 旧寄附行為 


財団法人仏教美術研究上野記念財団 設立趣意書
 
 わが国仏教美術に対する関心が年を追って内外に高まりつつあることは識者のひとしく認めるところであるが、これに伴う調査、研究費は非常に少なく、その発展を妨げているのが現状である。  

 今回、朝日新聞社主上野精一氏が御尊父の五十回忌にあたり、同家所蔵の国宝絹本著色山越阿弥陀図一幅を国に譲渡せられたのを機会に、その代金の全額をこれら研究促進のため寄付されることになったので、ここに財団法人仏教美術研究上野記念財団を設立し、その基本財産を確実な金融機関に預託し主としてその果実を運用資金として仏教美術に関する調査、研究を援助促進して、その進歩発展を図り、もって我が国の文化財の保護に寄与することを目的とする。

1970 年 2 月 1 日


                 財団法人 仏教美術研究上野記念財団寄附行為

    第 1 章 総   則
 (名  称)
第 1 条 この法人は、財団法人仏教美術研究上野記念財団という。

(事務所)
第 2 条 この法人は、事務所を京都市東山区茶屋町527番地におく。


    第 2 章 目的および事業
 (目  的)
第 3 条 この法人は、仏教美術に関する調査研究を援助促進してその進歩発展をはかり、
      もってわが国文化財の保護に寄与することを目的とする。

 (事  業)
第 4 条 この法人は、前条の目的を達成するために次の事業を行う。
  (1) 仏教美術に関する調査研究の助成
  (2) 仏教美術の保存活用に関する研究の助成
  (3) 前2号の成果等の刊行および刊行の助成
  (4) 仏教美術を中心とする美術に関する学術講演、研究集会、展覧会等の開催および助成
  (5) その他目的を達成するために必要な事業


    第 3 章 資産および会計
 (資産の構成)
第 5 条 この法人の資産は、次のとおりとする。
  (1) この法人設立の当初上野精一の寄付にかかる別紙財産目録に記載された財産
  (2) 資産から生ずる収入
  (3) 事業に伴う収入
  (4) 寄付金品
  (5) その他の収入

 (資産の種別)
第 6 条 この法人の資産を分けて、基本財産と運用財産の二種とする。
 2. 基本財産は、次に掲げるものをもって構成する。
  (1) 設立当初の財産目録中基本財産の部に記載された財産
  (2) 基本財産とすることを指定して寄付された財産
  (3) 理事会で基本財産に繰り入れることを議決した財産
 3. 運用財産は、基本財産以外の資産とする。
 (資産の管理)

第 7 条 この法人の資産は、理事長が管理し、基本財産のうち現金は、
      理事会の議決を経て定期預金とする等確実な方法により、理事長が保管する。
(基本財産の処分の制限)
第 8 条 基本財産は、譲渡し、交換し、担保に供し、また運用財産に繰り入れてはならない。
       ただし、この法人の事業遂行上やむを得ない理由があるときは、理事会の議決を
       経、かつ文部科学大臣の承認を受けて、その一部に限りこれらの処分をすることが
       できる。

 (経費の支弁)
第 9 条 この法人の事業遂行に要する経費は、運用財産をもって支弁する。

(事業計画および収支予算)
第10条 この法人の事業計画およびこれに伴う収支予算は、理事長が編成し、理事会の議決を
       経て、毎会計年度開始前に文部科学大臣に届け出なければならない。
       事業計画および収支予算を変更しようとする場合も同様とする。

 (収支決算)
第11条 この法人の収支決算は、理事長が作成し、財産目録、事業報告書および
       財産増減事由書とともに、監事の意見をつけ、理事会の承認を受けて、
       毎会計年度終了後2ヶ月以内に文部科学大臣に報告しなければならない。
2. この法人の収支決算に剰余金があるときは、理事会の議決を経て、
      その一部もしくは全部を基本財産に編入し、または翌年度に繰り越すものとする。

 (長期借入金)
第12条 この法人が借入金をしようとするときは、その会計年度の収入をもって償還する
       短期借 入金を除き、理事会の議決を経、かつ、文部科学大臣の承認を受けな
       ければならない。

 (新たな義務の負担等)
第13条 第8条ただし書きおよび前条の規定に該当する場合ならびに収支予算で定めるものを
       除くほか新たな義務の負担または権利の放棄のうち重要なものを行なおうとする
       ときは、理事会の議決を経なければならない。

 (会計年度)
第14条 この法人の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終る。


    第 4 章 役員、評議員、顧問および職員
 (役  員)
第15条 この法人には、次の役員をおく。
  (1) 理  事 7名以上9名以内(うち理事長1名)
  (2) 監  事 2名または3名
2. 役員のうちには、各役員について、その配偶者または6親等以内の親族が1名をこえて
  含まれてはならない。

 (役員の選任)
第16条 理事および監事は、評議員会で選任し、理事は互選で理事長を定める。

 (理事の職務)
第17条 理事長は、この法人の業務を総理し、この法人を代表する。
 2. 理事長に事故あるとき、または欠けたときは、理事長があらかじめ指名した
   順序により理事がその職務を代理し、またはその職務を行なう。
 3. 理事は理事会を組織して、この法人の業務を議決し、執行する。

 (監事の職務)
第18条 監事は、この法人の業務および財産に関し、次の各号に規定する業務を行なう。
  (1) 法人の財産の状況を監査すること。
  (2) 理事の業務執行の状況を監査すること。
  (3) 財産の状況または業務の執行について不正の事実を発見したときは、
    これを理事会、評議員会または文部科学大臣に報告すること。
  (4) 前号の報告するため必要があるときは、理事会または評議員会を招集する。

 (役員の任期)
第19条 この法人の役員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
 2. 補欠または増員により選任された役員の任期は、前任者または現任者の残任期間とする。
 3. 役員は、その任期満了後でも後任者が就任するまでは、なおその職務を行なう。

 (役員の解任)
第20条 役員は、次の各号の一に該当するときは、理事現在数および評議員現在数おのおのの
        3分の2以上の議決により役員を解任することができる。
  (1) 心身の故障のため、職務の執行にたえないと認められたとき。
  (2) 職務上の義務違反その他役員たるにふさわしくない行為があると認められるとき。

 (役員の報酬)
第21条 役員は、有給とすることができる。
 2. 役員の報酬は、理事会の議決を経て理事長が定める。

 (評議員の選出)
第22条 この法人には、評議員9名以上12名以内をおく。
 2. 評議員は、理事会で選出し、理事長が任命する。
 3. 理事は、評議員を兼ねることができない。
 4. 評議員には、第19条および第20条の規定を準用する。この場合においてこれらの規定中
   「役員」とあるのは「評議員」と読みかえるものとする。

 (評議員の職務)
第23条 評議員は、評議員会を組織して、この寄付行為に定める事項を行なうほか、
        理事会の諮問に応じ、理事長に対し、必要と認める事項について助言する。

 (顧  問)
第24条 この法人には、顧問若干名おくことができる。
 2. 顧問は、理事会の議決により理事長がこれを委嘱する。
 3. 顧問は、この法人の業務に関する重要事項について、理事長の諮問に応じる。

 (職  員)
第25条 この法人の事業を処理するため、必要な職員をおく。
 2. 職員は、理事長が任命する。
 3. 職員は、有給とする。


    第 5 章 会   議
 (理事会の招集等)
第26条 理事会は、毎年2回理事長が招集する。ただし、理事長が必要と認めた場合または
       理事現在数の3分の1以上から会議に付議すべき事項を示して理事会の招集を
       請求されたときは、その請求があった日から20日以内に臨時理事会を招集しな
       ければならない。
 2. 理事会の議長は、理事長とする。

 (理事会の定足数等)
第27条 理事会は、理事現在数の3分の2以上の者が出席しなければその議事を開き議決
       することができない。ただし、当該議事につき書面をもってあらかじめ意思を
       表示した者は、出席者とみなす。
 2. 理事会の議事は、この寄付行為に別段の定めがある場合を除くほか、
   出席理事の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 (評議員会)
第28条 次に掲げる事項については、理事会においてあらかじめ評議員会の意見を
       聞かなかければならない。
  (1) 事業計画および収支予算についての事項
  (2) 事業報告および収支決算についての事項
  (3) 基本財産についての事項
  (4) 長期借入金についての事項
  (5) その他この法人の業務に関する重要事項で理事会において必要と認めた事項
前2条の規定は、評議員会についてこれを準用する。
この場合において前2条中「理事会」および「理事」とあるのは、
それぞれ「評議員会」および「評議員」と読みかえるものとする。

 (議事録)
第29条 すべての会議には、議事録を作成し、議長および出席者の代表2名以上が署名
       押印の上、これを保存する。


    第 6 章 寄付行為の変更および解散
 (寄付行為の変更)
第30条 この寄付行為は、理事現在数および評議員現在数おのおのの3分の2以上の議決
       を経、かつ、文部科学大臣の認可を受けなければ変更できない。

 (解  散)
第31条 この法人の解散は、理事現在数および評議員現在数おのおのの4分の3以上の
       議決を経、かつ、文部科学大臣の許可を受けなければならない。

 (残余財産の処分)
第32条 この法人の解散に伴う残余財産は、理事現在数および評議員現在数の議決を経、
       かつ、文部科学大臣の許可を受けて、京都国立博物館の陳列に必要な古美術品
       および図書、資料を購入の上、寄付を行なうものとする。


    第 7 章 補   則
 (書類および帳簿の備付等)
第33条 この法人の事務所に、次の書類および帳簿を備えなければならない。ただし、
       他の法令により、これらに代る書類および帳簿を備えたときは、この限りでない。
  (1) 寄付行為
  (2) 役員、評議員、顧問およびその他の職員の名簿および履歴書
  (3) 財産目録
  (4) 資産台帳および負債台帳
  (5) 収入支出に関する帳簿および証拠書類
  (6) 理事会および評議員会の理事に関する書類
  (7) 処務日誌
  (8) 官公署往復書類
  (9) その他必要な書類および帳簿
 2. 前項の書類および帳簿は、永久保存としなければならない。ただし、前項第5号の
   帳簿および書類は10年以上、同項第7号から第9号の書類および帳簿は、
   1年以上保存しなければならない。 (細  則)

第34条 この寄付行為施行についての細則は、理事会の議決を経て別に定める。

付  則
 1. この寄付行為は、文部科学大臣の許可のあった日から施行する。
 2. 第16条の規定にかかわらず、この法人設立当初の理事および監事は、
   次のとおりとする。

理   事(理事長)   神 田  喜一郎
理   事           上 野  淳  一
  〃            貝 塚  茂  樹
  〃            塚 本  善  隆
  〃            蔵 田  蔵
  〃            内 藤  乾  吉
  〃            吉 村  正一郎
  〃            藤 岡  了  一
  〃            中 村  正  吾
監   事          大 内  清  雄
  〃            森 川  幸  男

  
  

▲このページのTOPへ
Copyright2012(c) 公益財団法人仏教美術研究上野記念財団 All Rights Reserved